基礎知識

競走馬の毛色について|毛色と強さは関係するのか

馬の毛色は個体の識別に重要で、血統書にも記されます。

ただ普通に競馬を楽しむ分には、詳細な毛色の知識は必要ありません。「芦毛の怪物」「栗毛の貴公子」など馬の形容によく用いられるので、主要な毛色についてイメージできる程度でよいでしょう。

毛色の種類

サラブレッドの毛色は8種類に分類されます。

  • 鹿毛(かげ)
  • 黒鹿毛(くろかげ)
  • 青鹿毛(あおかげ)
  • 青毛(あおげ)
  • 栗毛(くりげ)
  • 栃栗毛(とちくりげ)
  • 芦毛(あしげ)
  • 白毛(しろげ)

系統別に特徴を見ていきます。

鹿毛 系

鹿毛(かげ)は一般的な毛色で、右にいくほど黒くなります。

  • 鹿毛 < 黒鹿毛 < 青鹿毛 < 青毛

青は黒より黒い。

栗毛 系

栗毛(くりげ)は明るい茶色で目を引きます。栃栗毛(とちくりげ)は栗毛より暗色になります。

  • 栗毛 < 栃栗毛

芦毛

芦毛(あしげ)は特徴的な毛色です。幼少期は灰色の馬体をしていますが、年を経るごとに白くなっていきます。世間で白馬と認識されている馬のほとんどは、年月を経た芦毛です。

白毛

白毛(しろげ)はとてもレアな存在で、生まれた頃から真っ白です。遺伝子疾患のアルビノとは違います。

毛色の出現割合

統計から算出した、おおまかな出現割合です。半分以上が鹿毛系で、4頭に1頭は栗毛。芦毛は少ないです。

希少種の代表馬

上のグラフで「ほか」に含まれる3種の代表馬をあげてみます。

青毛(出現確率1%以下)

日米のオークスを制したシーザリオヴィルシーナヴィブロス姉妹などがいます。

栃栗毛(出現確率1%以下)

近年だとノンコノユメ(フェブラリーS)。少しさかのぼるとサクラローレル(年度代表馬)、マーベラスサンデー(宝塚記念)、サッカーボーイ(マイルCS)などのG1馬がいます。

白毛(出現確率約0.04%)

ユキチャンが地方交流重賞を3勝しています。重賞を勝ったのも中央のG1に出走したのもユキチャンのみです。

毛色を決める遺伝法則

馬の毛色も遺伝法則により決まります。いわゆるメンデルの法則です。

ディープインパクトは鹿毛のホモ遺伝子をもっているため、栗毛の産駒はいません。レアは白毛も、片親で白毛であれば50%の確率で白毛の仔が誕生します。白毛はほかのすべての毛色に対して優性であるためです。

よく知られる遺伝法則

毛色の遺伝の仕組みは複雑なので詳細は省きますが、ここでは有名な2つルールを紹介します。

栗毛の両親からは栗毛しか生まれない。

栗毛には栃栗毛も含みます。

芦毛は、両親のどちらかが必ず芦毛である。

芦毛の種牡馬の仔に芦毛が多いのにも納得ですね。

毛色で競争能力に違いはあるのか?

毛色と競争能力に関係性があるなら予想も簡単になりそうですが、「毛色を決定する染色体には競争能力に影響のある遺伝因子はない」とされています。なので毛色は競争能力に関係ないという結論になります。統計をとって確かめてみます。

毛色別のG1馬の頭数

2005年以降に生まれたG1馬を2024年4月までカウントしています。

毛色 推定値 G1頭数 実割合
鹿毛 50% 112 頭 46.3 %
黒鹿毛 14% 48 頭 19.8 %
青鹿毛 3% 22 頭 9.1 %
青毛 1%以下 6 頭 2.5 %
栗毛 25% 37 頭 15.3 %
栃栗毛 1%以下 1 頭 0.4 %
芦毛 7% 15 頭 6.2 %
白毛 0.04% 1 頭 0.4 %

活躍した種牡馬によって毛色も偏りが生じてしまいます。栗毛の頭数が少ないのはディープインパクトの影響ですね。それを除けばおおまかに推定値通りといえるのではないでしょうか。