G1

数字が示す名勝負、一頭だけ次元の違う脚で圧勝した名馬たち

一頭だけ次元の違う競馬が勝利する姿は美しい。今回はそんな馬たちを集めてみました。記憶に残る鮮やかな勝ちっぷりが蘇ります。個人の主観は抜きにして、しっかりと数字を根拠としましたが、やはり規格外の名馬ばかりが集いました。

以下の条件を満たした馬を抽出しています。

  • 上がり3F最速でG1を勝った馬
  • 上がり3Fで2番目に速い馬よりも0.5秒差以上つける

※上がり3Fのデータが残る1990年頃以降のG1約600レースが対象

では、みていきます。

0.8差以上の脚をみせつけ圧勝した怪物

まずは上位をみていきます。先に数値を改めて説明します。ジェンティルドンナがオークスで1.0秒差とあります。ジェンティルドンナの上がり3F(残り600m)タイムは34.2です。そして上がり2位の馬は7着だったハナズゴールの35.2です。1.0秒差というのは、この差を計算したものです。

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
1.3 オルフェーヴル 2013 有馬記念 36.0 ウインバリアシオン
1.0 アーモンドアイ 2018 桜花賞 33.2 ラッキーライラック
1.0 ジェンティルドンナ 2012 オークス 34.2 ヴィルシーナ
1.0 ディープインパクト 2005 ダービー 33.4 インティライミ
1.0 グラスワンダー 1997 朝日杯3歳S 35.4 マイネルラヴ
0.9 ソールオリエンス 2023 皐月賞 35.5 タスティエーラ
0.9 クロノジェネシス 2020 宝塚記念 36.3 キセキ
0.9 ジャスタウェイ 2013 天皇賞秋 34.6 ジェンティルドンナ
0.9 ディープインパクト 2005 菊花賞 33.3 アドマイヤジャパン
0.9 ナリタブライアン 1994 菊花賞 34.3 ヤシマソブリン
0.9 ナリタブライアン 1993 朝日杯3歳S 35.7 フィールドボンバー
0.8 カネヒキリ 2008 フェブラリーS 35.7 シーキングザダイヤ
0.8 ディープインパクト 2006 宝塚記念 34.9 ナリタセンチュリー
0.8 スペシャルウィーク 1998 ダービー 35.3 ボールドエンペラー
0.8 マヤノトップガン 1997 天皇賞春 34.2 サクラローレル
0.8 ビワハヤヒデ 1993 菊花賞 34.5 ステージチャンプ

前に位置する馬が上位にランクするには難しいデータですが、どれも鮮烈な印象を残したレースです。見たことないレースは、Youtubeなどで動画を探してみるのもいいと思います。

0.7秒差以降は、ページ下部に表示しています。

1位はオルフェーヴルの引退レース、有馬記念

歴代1位となったのはオルフェーヴルの引退レース。最終コーナーをまくっていき、直線早々先頭から後続を8馬身ぶっちぎりの圧勝劇。このレースの上がり3F2番手は2着のウインバリアシオン。3着ゴールドシップとはさらに差があり1.8秒差でした。

1秒はおおよそ6馬身と計算されるので、馬身に換算すると1.3秒差は12馬身強となります。他馬は完全に置いていかれています。

凱旋門賞2年連続2着から帰国しての一戦でコンディションは万全とは言えず。3歳からトップに君臨し、5歳の引退時に他馬を寄せ付けない強さを見せた三冠馬、紛れもない本物でした。

ダートで唯一のランクインはカネヒキリ

芝ほどスピードがでないダートではカネヒキリが唯一0.5秒差以上をつけた。着差は3馬身でそこまで派手な印象はないが、後方から他馬が伸びず、上位入線は前目の馬ばかりのなか、カネヒキリの伸び脚が光った。

ダートではJCダートで8馬身差をつけたクロフネに注目していたが、2着馬ウイングアローと同じ上りタイムと案外な結果に。まくって4角先頭から突き放す一方の競馬だったため、上がりよりもまくりの脚が速かった。ちなみに9馬身差をつけた前走、武蔵野S(G3)も0.3秒差。

0.5秒差以上を複数回記録した馬

わずかに10頭のみが複数回の圧勝劇を繰りひろげました。三冠馬が4頭もいる納得のラインナップ。

さすがの貫禄、ディープインパクト

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
1.0 ディープインパクト 2005 ダービー 33.4 インティライミ
0.9 ディープインパクト 2005 菊花賞 33.3 アドマイヤジャパン
0.8 ディープインパクト 2006 宝塚記念 34.9 ナリタセンチュリー
0.6 ディープインパクト 2006 有馬記念 33.8 ポップロック

アーモンドアイ、同世代の牝馬は相手にならず

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
1.0 アーモンドアイ 2018 桜花賞 33.2 ラッキーライラック
0.7 アーモンドアイ 2018 オークス 33.2 リリーノーブル

クロノジェネシス、宝塚記念では無類の強さ

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.9 クロノジェネシス 2020 宝塚記念 36.3 キセキ
0.5 クロノジェネシス 2021 宝塚記念 34.4 ユニコーンライオン

年度代表馬の兄弟が揃い踏み

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.9 ナリタブライアン 1994 菊花賞 34.3 ヤシマソブリン
0.9 ナリタブライアン 1993 朝日杯3歳S 35.7 フィールドボンバー
0.5 ナリタブライアン 1994 ダービー 36.2 エアダブリン
秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.8 ビワハヤヒデ 1993 菊花賞 34.5 ステージチャンプ
0.6 ビワハヤヒデ 1994 宝塚記念 35.0 アイルトンシンボリ

三冠馬の全兄も侮れない

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.6 ドリームジャーニー 2006 朝日FS 34.0 ローレルゲレイロ
0.5 ドリームジャーニー 2009 宝塚記念 34.3 サクラメガワンダー
0.5 ドリームジャーニー 2009 有馬記念 35.2 ブエナビスタ

データを調べていて、最も意外だったのがドリームジャーニー。もちろん現役時代は鋭い末脚で知られていたが、勝ったG1すべてがここまで鮮やかだったとは思わなかった。

最強世代の2頭、さすがの強さ

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
1.0 グラスワンダー 1997 朝日杯3歳S 35.4 マイネルラヴ
0.6 グラスワンダー 1999 宝塚記念 35.1 スペシャルウィーク
秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.8 スペシャルウィーク 1998 ダービー 35.3 ボールドエンペラー
0.5 スペシャルウィーク 1999 天皇賞秋 34.5 ステイゴールド

短距離では並ぶものはない末脚、デュランダル

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.6 デュランダル 2003 スプリンターズS 33.1 ビリーヴ
0.6 デュランダル 2003 マイルCS 33.5 ファインモーション

短距離ではさすがに0.5秒差は厳しかと思ったが、スプリントG1で唯一の0.5秒差以上をつけたのがデュランダル

ゲームのような末脚をみせたグランアレグリアのスプリンターズSでさえも3着馬アウィルアウェイと0.1差。いかに傑出しているかがわかる。

カテゴリ別

カテゴリ別に見やすく整理してみました。

牡馬クラシック

対象レースは皐月賞、ダービー、菊花賞の三冠。

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
1.0 ディープインパクト 2005 ダービー 33.4 インティライミ
0.9 ソールオリエンス 2023 皐月賞 35.5 タスティエーラ
0.9 ディープインパクト 2005 菊花賞 33.3 アドマイヤジャパン
0.9 ナリタブライアン 1994 菊花賞 34.3 ヤシマソブリン
0.8 スペシャルウィーク 1998 ダービー 35.3 ボールドエンペラー
0.8 ビワハヤヒデ 1993 菊花賞 34.5 ステージチャンプ
0.6 ドゥラメンテ 2015 皐月賞 33.9 リアルスティール
0.6 ナリタタイシン 1993 皐月賞 34.6 ビワハヤヒデ
0.5 コントレイル 2020 皐月賞 34.9 サリオス
0.5 ディープスカイ 2008 ダービー 34.2 スマイルジャック
0.5 ソングオブウインド 2006 菊花賞 33.5 ドリームパスポート
0.5 タニノギムレット 2002 ダービー 34.7 シンボリクリスエス
0.5 ダンスインザダーク 1996 菊花賞 33.8 ロイヤルタッチ
0.5 ナリタブライアン 1994 ダービー 36.2 エアダブリン

牝馬三冠

対象レースは桜花賞、オークス、秋華賞。

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
1.0 アーモンドアイ 2018 桜花賞 33.2 ラッキーライラック
1.0 ジェンティルドンナ 2012 オークス 34.2 ヴィルシーナ
0.7 リバティアイランド 2023 桜花賞 32.9 コナコースト
0.7 アーモンドアイ 2018 オークス 33.2 リリーノーブル
0.7 スイープトウショウ 2004 秋華賞 33.9 ヤマニンシュクル
0.6 ブエナビスタ 2009 オークス 33.6 レッドディザイア
0.5 デアリングタクト 2020 桜花賞 36.6 レシステンシア
0.5 ディアドラ 2017 秋華賞 35.7 リスグラシュー
0.5 ハープスター 2014 桜花賞 32.9 レッドリヴェール
0.5 メジロドーベル 1997 オークス 36.4 ナナヨーウイング
0.5 ダンスパートナー 1995 オークス 35.4 ユウキビバーチェ
0.5 エイシンサニー 1990 オークス 35.9 アグネスフローラ

古馬中距離路線

対象レースは、大阪杯、宝塚記念、天皇賞秋、ジャパンC、有馬記念。馬場が悪くなることが多いせいか、宝塚記念では差がつく傾向です。

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
1.3 オルフェーヴル 2013 有馬記念 36.0 ウインバリアシオン
0.9 クロノジェネシス 2020 宝塚記念 36.3 キセキ
0.9 ジャスタウェイ 2013 天皇賞秋 34.6 ジェンティルドンナ
0.8 ディープインパクト 2006 宝塚記念 34.9 ナリタセンチュリー
0.6 ゴールドシップ 2013 宝塚記念 35.2 ダノンバラード
0.6 ディープインパクト 2006 有馬記念 33.8 ポップロック
0.6 シンボリクリスエス 2002 有馬記念 34.6 タップダンスシチー
0.6 グラスワンダー 1999 宝塚記念 35.1 スペシャルウィーク
0.6 ビワハヤヒデ 1994 宝塚記念 35.0 アイルトンシンボリ
0.5 クロノジェネシス 2021 宝塚記念 34.4 ユニコーンライオン
0.5 コントレイル 2021 ジャパンC 33.7 オーソリティ
0.5 リスグラシュー 2019 宝塚記念 35.2 キセキ
0.5 ドリームジャーニー 2009 宝塚記念 34.3 サクラメガワンダー
0.5 ドリームジャーニー 2009 有馬記念 35.2 ブエナビスタ
0.5 スペシャルウィーク 1999 天皇賞秋 34.5 ステイゴールド

古馬短距離路線

対象レースは、高松宮記念、スプリンターズS、ヴィクトリアマイル、安田記念、マイルCS。

東京マイルで無類の瞬発力を発揮したウオッカは2009ヴィクトリアマイルの0.4秒差が最高値。

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.6 デュランダル 2003 スプリンターズS 33.1 ビリーヴ
0.6 デュランダル 2003 マイルCS 33.5 ファインモーション
0.6 タイキシャトル 1998 安田記念 37.0 オリエンタルエクスプレス

0.7から0.5秒差の馬一覧

一番上の表に続く、0.5秒差以上を記録した残りすべての馬となります。

秒差 馬名 レース名 3F 2着馬
0.7 リバティアイランド 2023 桜花賞 32.9 コナコースト
0.7 タイトルホルダー 2022 天皇賞春 36.4 ディープボンド
0.7 テーオーケインズ 2021 チャンピオンズC 35.5 チュウワウィザード
0.7 アーモンドアイ 2018 オークス 33.2 リリーノーブル
0.7 リオンディーズ 2015 朝日杯FS 33.3 エアスピネル
0.7 ダノンシャンティ 2010 NHKマイルC 33.5 ダイワバーバリアン
0.7 スイープトウショウ 2004 秋華賞 33.9 ヤマニンシュクル
0.7 キングカメハメハ 2004 NHKマイルC 34.0 コスモサンビーム
0.7 シンボリインディ 1999 NHKマイルC 35.1 ザカリヤ
0.7 サクラホクトオー 1988 朝日杯3歳S 35.0 スクラムトライ
0.6 ドゥラメンテ 2015 皐月賞 33.9 リアルスティール
0.6 ゴールドシップ 2013 宝塚記念 35.2 ダノンバラード
0.6 ブエナビスタ 2009 オークス 33.6 レッドディザイア
0.6 ドリームジャーニー 2006 朝日FS 34.0 ローレルゲレイロ
0.6 ディープインパクト 2006 有馬記念 33.8 ポップロック
0.6 デュランダル 2003 スプリンターズS 33.1 ビリーヴ
0.6 デュランダル 2003 マイルCS 33.5 ファインモーション
0.6 シンボリクリスエス 2002 有馬記念 34.6 タップダンスシチー
0.6 グラスワンダー 1999 宝塚記念 35.1 スペシャルウィーク
0.6 タイキシャトル 1998 安田記念 37.0 オリエンタルエクスプレス
0.6 ビワハヤヒデ 1994 宝塚記念 35.0 アイルトンシンボリ
0.6 ナリタタイシン 1993 皐月賞 34.6 ビワハヤヒデ
0.5 ジュンライトボルト 2022 チャンピオンズC 36.2 クラウンプライド
0.5 クロノジェネシス 2021 宝塚記念 34.4 ユニコーンライオン
0.5 コントレイル 2021 ジャパンC 33.7 オーソリティ
0.5 デアリングタクト 2020 桜花賞 36.6 レシステンシア
0.5 コントレイル 2020 皐月賞 34.9 サリオス
0.5 フィエールマン 2020 天皇賞春 34.6 スティッフェリオ
0.5 リスグラシュー 2019 宝塚記念 35.2 キセキ
0.5 ディアドラ 2017 秋華賞 35.7 リスグラシュー
0.5 ハープスター 2014 桜花賞 32.9 レッドリヴェール
0.5 ジャガーメイル 2010 天皇賞春 33.7 マイネルキッツ
0.5 ドリームジャーニー 2009 宝塚記念 34.3 サクラメガワンダー
0.5 ドリームジャーニー 2009 有馬記念 35.2 ブエナビスタ
0.5 ディープスカイ 2008 ダービー 34.2 スマイルジャック
0.5 ソングオブウインド 2006 菊花賞 33.5 ドリームパスポート
0.5 タニノギムレット 2002 ダービー 34.7 シンボリクリスエス
0.5 スペシャルウィーク 1999 天皇賞秋 34.5 ステイゴールド
0.5 メジロドーベル 1997 オークス 36.4 ナナヨーウイング
0.5 ダンスインザダーク 1996 菊花賞 33.8 ロイヤルタッチ
0.5 サクラローレル 1996 天皇賞春 34.7 ナリタブライアン
0.5 ダンスパートナー 1995 オークス 35.4 ユウキビバーチェ
0.5 ナリタブライアン 1994 ダービー 36.2 エアダブリン
0.5 ライスシャワー 1993 天皇賞春 36.3 メジロマックイーン
0.5 エイシンサニー 1990 オークス 35.9 アグネスフローラ